「もしかして、今、夫は狂っているんだろうか」

『水たまりで息をする』高瀬隼子
「風呂には入らないことにした」
あることがきっかけで水道水を体が受けつけなくなった夫。
他のことは今まで通りで、極めて普通なのだが、水道水の風呂に入ることだけはどうしてもできない。ペットボトルのミネられウォーターで身体を拭いたり、雨の日は外に出て皮膚の垢を落とすようにはしていますが、そんなことでは夫の発散する匂いは消えません。周囲と隔絶し始め、社会的に不適合者となっていく夫。そんな夫を受け入れ、守りたいけど、許せない主人公。
彼女にとって、夫の存在とは一体なんなのだろうか。結末については、読み手手に委ね、考える余韻をも残してくれる小説でした。