読書とは「他人の脳のかけら」を自分の脳につなげること


『本を読む人だけが手にするもの』藤原和博

本を読んでいて、ぐっとくる1行に出会えれば、それだけで幸運なことだし、そんな幸運は人とシェアたくなります。だから、最近読んだ本の中で出会った印象的な1行をブログで紹介していくことにしました。
DRUM UPが1日目に紹介したかった言葉は、本を読むことについての1行です。

筆者の藤原さんはリクルート出身。その後杉並区長として活躍されたことでも知られています。この本では「どうして本を読むといいの?」という問いに対して、ビジネスマン出身の筆者らしく、極めて明快に本を読むことのメリットをいくつか提示しています。そのひとつが、この1行。

読書とは「他人の脳のかけら」をじぶんの脳に繋げること(P-71)

1冊の本を上梓するには、著者は膨大な量の資料を読み込み、取材も行い、考え抜きます。作品は作家がエネルギーを注ぎ込んだ知の塊、いわば脳のかけらとも言えます。本を読むということは、その作家の脳のかけらが自分の脳とつながるということ。たくさんの本を読めばそれだけ世界の「見方」が広がり、たくさんの著者の脳という「味方」がアメーバ的に自分の中に増殖する、つまり、ふたつの「みかた」を増やせる、というメリットがある。

AIブームですが、自分の脳も本を読むことでAIのように自己増殖させることができる。それによって世の中の変化にも対応できる力を得ることができるのだとしたら。しかもそれが本代だけで手に入るのであれば、本を読まない手はないな、と腹落ちした1行でした。