新書は面白い⑩


『蔦屋重三郎 江戸を編集した男』田中優子文春新書
『蔦屋重三郎と吉原』河合敦 朝日新書
NHK大河ドラマ「べらぼう」面白いな。特に前回の平賀源内の死。安田顕の涙と鼻水垂らしながらの鬼気迫る演技。「あの水曜どうでしょうのOnちゃん、すごい役者さんになったなあ」と感動しっぱなしだった。
22日から国立博物館で「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」展開催。空いてるうちにと、早速初日の夕方に立ち寄る。
実物の吉原細目、人目千本、エレキテル、黄表紙、洒落本、狂歌、浮世絵、美人画などが、十三郎の人生とその周辺の人物の紹介とともに展示されていて、とてもわかりやすい。実物の細緻な描写、美しい色遣いを目の当たりにすると、いかに江戸の出版文化が豊かなものであったかが理解できる。
「幕府による度重なる禁令。窮地が編集者に新たな発見をもたらし、必死が強烈な視点を動かす」田中優子
大河ドラマのこれから、田沼意次失脚後、十三郎が幕府の目を潜り抜け、時には堂々と反旗を翻し、あの手この手で新たな流行を作り出していく活躍ぶりが描かれることだろう。そして弾圧による本人や作家たちの苦悩も。楽しみだ。
展示会の前に予習をと、読んでおいた2冊。
べらぼうに関する新書はめちゃくちゃ多くて、正直選ぶのが大変。他にも良い新書はあると思うけど、とりあえずこの2冊はどちらも買って良かった。
『蔦屋重三郎 江戸を編集した男』 田中優子
こちらは著者名で間違いないだとろうと、最初に購入。
江戸の文化自体を編集(プロデュース)した十三郎の才能とともに、手がけた作品についても時代背景とともに丁寧に紹介されている。
『蔦屋重三郎と吉原』河合敦
歴史番組などにもよく出演している方みたい。
重三郎とその周辺の人物像や当時の社会の様子が生々しく描写され、物語的にすらすら読める。
先日放送された平賀源内が犯してしまった殺人の経緯などは、かなり詳しく真相が書かれているので、ドラマと比べてみるのも面白い。これを読むと、史実を元に脚本家がいかに想像力を働かせてドラマをより魅力的なものに仕立てているかがわかる。
ドラマを見て、十三郎が手がけた作品や文化的背景についてさらに詳しく学びたい人は前者、十三郎の周辺の人物たちの人生ドラマについて興味が湧いたら後者、という感じでした。
