新書は面白い⑤


『フランス革命』 遅塚 忠躬 岩波ジュニア新書

丸善お茶の水店はビジネスマンや大学関係者の読者が多いためか、新書が充実している。ひとつの壁面を全部使ってずらりと並べてあるので、各社のラインナップを見比べやすい。

そこで見つけた『フランス革命』

ダブルカバーって言うんですか?岩波ジュニアだと手に取りづらい大人のためにと、通常の岩波新書のカバーを被せてある。

自分は本を読む時はカバーは全部外しちゃうので、あんまり関係ないけと。

「ジュニア新書で、ざっくりフランス革命の歴史が学べたら」なんて軽い気持ちで読んだら、全然違う切り口。良い意味で裏切られた。この本、とっても深い!これがジュニア新書なの?さすが岩波。

マリーアントワネットの、パンが無ければケーキをお食べ、なんてお話しなどは出てきません。

革命当時のフランスを青銅時代と命名。人に例えると、若々しくて逞しい青春期。日本ならば明治維新時期か。

フランス革命とは、その青銅時代のフランスが、老人たちに牛耳られた社会を若者の手によって生まれ変わるために必要な劇薬だったというのが著者の仮説。

劇薬には、当然かなりのリスクや副作用があるわけで、なんでそこまでしなければならない状況に追い込まれたのか?そしてその効用や痛みについての考察です。

そして最後に、これからの社会を担う若者に、現代人は歴史から何を学ぶのかを、わかりやすく説明。

歴史を学ぶ意義

1.過去から現在までの変化の筋道を知って、現在を理解するうえでの参考にする。 

2.現在のわれわれとは全く違う過去の人々の生き方を知って、いまのわれわれの生き方を反省する。

3.歴史の中に生きた人間たちの偉大と悲惨を知って、共感し、感動する。

なるほど。

E.Hカー『歴史とは何か』の定義「歴史とは現在と過去との絶え間ない会話」と近いかも。そしてずっとわかりやすいと思う。良い本でした。