2024年6月

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「頑張れ。頑張ろうな。この三年間何度も言われてそのたびにうるせいよと思った。縁故と同じくらい忌々しい言葉が、なぜか今、目に染みてたまらない」

『ツミデミック』一穂ミチ 直木賞候補作5冊目。最後に読むのはこれと決めてましたが、期待以上でした。 「ツミデミック」とは、「罪」と「パンデミック」を掛け合わせた著者の造語。短編6作全てが新型コロナ×犯罪をテーマとしていま […]

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「熊楠さんは、己を知りたいんとちゃう、己が、己のままに生きられる術を知りたいんじゃ」

『われは熊楠』岩井圭也 まさに天才にして奇人。博覧強記、いや博覧狂気とも言いたくなるような人格の熊楠は、周囲との軋轢が絶えません。せっかく手にした大英博物館での仕事も失い、帰国後も常に金銭には苦労するが、「この世の全てを […]

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「どうせ最後は上手くいくんです。とにかく楽しいことをやってみる」

『生きのびるための事務』坂口恭平 原作 道草晴子 漫画  やりたいことだけをして生きていくための「事務」。一番重要なのは「スケジュール管理」と「時間管理」。これを徹底的に可視化すること。「事務」と「想像的行為」は別個の作 […]

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「先輩、もう詰んでますよ」

『地雷グリコ』青崎有吾 後輩の女子高校生との地雷グリコ勝負。彼女のこの呟きのあと、それまで勝利を全く疑っていなかった椚先輩にどれだけの地獄が待ち受けてたのか。表題作を含めどの作品も最後まで勝負の行方がわからなくて、ドキド […]

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「勝手に撮影される気持ち、これで少しはわかった?あ?』

『あいにくあんたのためじゃない』柚木麻子 第171回直木賞候補作は、長大な作品がなく、いずれも読みやすそうなので、5冊全部読んでみることにしました。先に紹介して麻布競馬場さんもですが、この作品も短編連作ですので、電車の中 […]

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「つまり、自発的にZ世代をやっているわけじゃなくて、教育されて望まれた通りにZ世代らしく振る舞っているってことですかぁ? 」

『令和元年の人生ゲーム』麻布競馬場 Z世代の意識高い系に属しながらも、彼らを常に冷めた目で皮肉っている沼田のセリフ。学生ビジコンサークル、起業、ソーシャルグッドがプレッシャー、Z世代の本音と焦燥。 この本は令和の『なんと […]

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