新書は面白い.23

『まさかの人生』読売新聞社会部「あれから」取材班 新潮新書
知ってましたか。シリーズ累計1000万本、97年には70億の売り上げを誇ったものの、翌年会社が弾け飛んだ「ぷよぷよ」の創業者は、20年後「にょきにょき」で再起。75歳になった現在も家賃5万円のアパートで新ゲームを構想していることを。
映画「ウォーターボーイズ」のモデルとして有名になった川越高校水泳部。初めは無許可で文化祭でお披露目。当時のメンバーだった北川吉隆は大学卒業後小学館に入社し、図鑑NEOシリーズで1500万部のヒットメーカーに。
技術では負けていなかった一太郎。Windows95の登場で業界地図があっという間に塗り替えられ、創業者夫妻はジャストシステムを去り、会社はキーエンス傘下に。それでもふたりはめげずに2009年に新会社を設立。いまは夫妻がIT業界のレジェンドだといことも知らない若手社員と机を並べている。
分離手術を受けたベトちゃんドクちゃん、山一證券自主廃業後の社員、箱根5区ゴール500メートル前で倒れ棄権となった順天堂大選手。アメリカウルトラ横断クイズ優勝者...
本書に登場するのは、かつてニュースになるような「まさか」に直面した人たち。彼らがその衝撃のさなかに何を考え、その後の人生をどう生きたのか。
毎日を生きていくのは、誰でも容易いことではない。それでも人生は続く。
野茂との確執。彼の大リーグ入り戦犯扱い。「300勝投手、名監督にあらず」と任期途中で近鉄を解雇された鈴木啓示の現在の生き方に対し、知人が敬意をこめて語る言葉が素敵だ。
「影の大きさは偉大さの裏返し。言い訳をしない潔さこそ、真の人間味ですよ」

